前回に引き続き、熊本県動物愛護センター 所長・熊本県健康福祉部 健康危機管理課 乳肉衛生班 課長補佐のお二人へのインタビューをお届けします。※2016年12月取材当時の役職は「主幹(班長)」でしたが、現在の役職は「課長補佐」となります。

第2回は、動物愛護への取り組みや、独自の譲渡会の仕組みについて。人とのつながりが動物のいのちを救ったエピソードをお伝えします。


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LEONIMAL(以下:LE):
所長さんが着任されてから動物愛護にも注力されてきたそうですが。

熊本県動物愛護センター所長(以下:所長):
4年前まではこの施設の主業務は動物の「殺処分」「焼却」でした。私が着任する時期に、県から動物愛護に力を入れたいから手伝ってほしいと依頼がありまして。

LE:具体的にはどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

所長:保育園・幼稚園や小学校低学年のお子さんたちに、命の大切さを話しに行くのが一つの大きな仕事です。それともう一つは、譲渡を積極的に行なっていこうと「譲渡前講習会」というのに取り組んできました。積極的に新しい飼い主さんになってもらうために、犬や猫の習性・飼い方などを事前に講習会形式でお伝えする方法です。飼う前の疑問点を出来るだけ解消することで、譲渡会を行なった際にスムーズに引き取ってもらいやすくなります。
この取組を通じて、動物愛護団体の方々と知り合いになりました。地震が起きた時にこのつながりに大いに助けられましたね。一斉に段取りを組んで動いてくださって。

LE:事前にそういうコミュニケーションが取れていたことで、震災時にも相談できる体制ができたんですね。人とのつながりって本当に大切ですね。

所長:実は私はこの仕事で初めて知ったのですが、愛護団体さんのネットワークというのは素晴らしいですね。

LE:そうですね。

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所長:目的を一つにして、しっかりつながっているんですね。SNSで情報もスピード感を持って拡散くださって、ボランティアの方々もたくさんいらっしゃいました。物資もニーズのあるものから優先して送ってくださって、非常に助かりました。

LE:そのつながりの中で、動物の譲渡が決まっていくこともあったんですか?

所長:譲渡はもちろんのこと、一時預かりも対応していただけました。団体から団体への譲渡は、原則として県からは認められていなかったのですが、震災の緊急事態で被災犬・被災猫を対象に認めていただけるようになって、どんどん引き取り先が見つかりました。

LE:行政の方の柔軟な判断もあったんですね。

熊本県健康福祉部 健康危機管理課 乳肉衛生班 課長補佐(以下:県職員):もともと譲渡というのは、ただ動物を飼ってください、ではなくて適正に飼育していただく、状況によってはアフターフォローを行うということを念頭におかなければいけません。なので県外など相手が見えない先にはなかなか譲渡しがたいという面があったわけです。
ただこういう緊急事態に全国から早く被災したペットを受け入れたいというお申し出もいただきまして。団体さん同士の関係性を信頼した上で一刻も早く動物に新たな飼い主を見つけ、いのちを救うために、団体間の譲渡を可能にしたり、登録頂いている団体さんには「一時預かり」していただける形式もとりました。万一、預かっていただいた先で保護が難しくなったら戻していただいても大丈夫です、というシステムで取り組んでいます。

LE:非常に柔軟な取り組みですね。

県職員:
信頼関係が構築できていたからこそ、実現できた取組みだと言えます。

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LE:他県との取り組みもされているとか。

県職員:9月に記者発表で、知事が全国自治体へ譲渡のお願いを呼びかけたところ、協力を申し出てくださった自治体が全国で多数ありました。また、九州各県が、山口県の災害時における応援協定もありましたので、そちらからも譲渡の申し出が早い段階であっていました。
中越地震に遭われた新潟県・長野県・市はご理解が深く、一刻も早く保護した動物たちの状況を解決しようと動いてくださいました。

LE:実際に譲渡はどのように行なわれているのでしょうか。

県職員:事前にお電話でやりとりをして犬・猫それぞれの受け入れ頭数の確認を行い、搬送当日まで、健康状態の確認を行います。空輸や陸輸の手続きと並行して、ボランティアさんにご協力いただきながら予防接種や検査を行なって、人馴れし、健康状態の良い動物をお送りしています。

LE:一番遠くはどちらまで送るのでしょうか。

県職員:一番遠いところだと北海道の旭川市です。すでに猫5頭。さらに猫5頭お送りすることになっています。その他の自治体さんからもたくさんお申し出をいただいていますが、まずは健康状態をしっかり把握・確保してから順に譲渡しています。

※この取材は2016年12月に行われました。


普段からの地道な取り組みから培われた人と人とのつながり。それが非常時にたくさんのいのちを救ったのがとても印象的でした。第3回では、保護した動物を飼育していく上での苦労や、どのように飼育体制を築いていかれたのか、をお届けします。


6回に渡るインタビュー、各回の記事はこちら
その時熊本で インタビュー第1回:被災犬・被災猫の保護が始まった

その時熊本で インタビュー第2回:人とのつながりが動物を救った

その時熊本で インタビュー第3回:地震は動物の出産時期に起こった

その時熊本で インタビュー第4回:迷い犬・迷い猫にしないためにできること

その時熊本で インタビュー第5回:取り組みを続けていく・知ってもらう

その時熊本で インタビュー第6回:地域と一緒に生きる飼い方を

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